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記事一覧

死の天使。

死の天使。闇の住人生まれてこの方苦労ばかり、肉親にも他人にも、いじめられ、金をせびられ、利用されるだけの人生だった。一つとして楽しい事もなく、苦しみと悲しみと絶望と孤独、裏切られるだけの人生で、その人はすっかりやつれ衰えた。実年齢よりも十年以上、年老いたその人は、やがて体も衰えて、病を得て長らく病院通い。とうとう何の光も希望もないままに、その人は死の床に就いたのだ。現実はままにならない事ばかり、夢...

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末期

末期さようなら、私の大切な人……人には皆、寿命があるが、あなたはたった今、この世を去って、遠い世界に帰ろうとしている。「人はその人生で行った、 全ての善行と悪行のままに、 死後の世界において報いを受ける。」――そう様々な神秘家達が教えている。「それ故に生きている間、  あなたは過ちと悪とを捨て、 憐れみと情けを選べ。 あなた自身が幸せでいられるために。」死の前には人は無力で、仮に医療の助けがあったとし...

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あなたに捧げる愛の歌……

あなたに捧げる愛の歌……小さな花が微笑んでいます。「ね、どうかもう悲しまないで。 私の愛をあなたに捧げてあげるから……」可愛い小鳥が歌います。「ね、希望はあるよ、まだあるよ。 僕があなたに教えてあげる。だからもう泣かないで……」春のそよ風がささやきます。「ね、きっとあなたは立ち直れる。 人生はこれで終わりじゃない。涙を払って立ち上がれ……」打ち寄せる波がつぶやきます。「ね、ご覧、人生は海と同じだよ。 あの...

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地獄の存在証明

(……地獄は実在するのだろうか?) 老い若い頃はこれをしたい、あれもしたいと、やりたい事ばかりで一杯だった。けれどももう人生も終盤に差し掛かると、これはもういい、あれはなおさらどうでも良いと、何もかもどうでもよくなった。若い頃にはこんな事は許せないと、正義感に燃えて苛立ちを募らせたが、髪の毛が灰色になった頃には、そんな事にはもはや何の関心もなくなった。若き日々には動き回って、世界を目の当たりにしたい...

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悲しい詩人。

悲しい詩人。その人は詩人の魂を持って生まれてきた。誰よりも心優しく、他人の悲哀や苦しみを、我が事のように感じ取り、涙を流す人だった。その人は他人を助けるために、不幸な人々、貧しさに喘ぐ人のために、命を削って努力した。人々はその人を嘲笑い、時には逆恨みして罵倒した。その人は決して丈夫ではなく、雨風や夏の暑さに苦しみ、寒さの冬には熱を出した。惨めな暮らしと粗食とは、じわじわとその人を蝕んだ。(ああ、肉...

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