記事一覧

看取り。 (死出の旅……)

看取り。  (死出の旅……) 老犬が病気になった。何度も吐くから獣医に連れて行くと、採血とエコーで「肝臓ガン末期」だと判明した。「人間の年齢なら85歳ぐらいですから仕方がありませんが、ここまで進行すると何もしてあげられません。」腕利きの獣医がそう告げた。2日もすると食べ物を受け付けなくなった。水を飲んでも吐いてしまう。ほんの少しずつ与えると貪り飲んだ。4日目にはまだ歩き回っていた。もともと腰椎椎間板ヘル...

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おやすみなさい……

おやすみなさい……幼い子供がおねむになった。ママが寄り添いそっと背中を叩く。時には静かに子守唄……安心し切って子供が眠る。おやすみなさい、また明日。世界が君を待っている。小学生が眠くなる。楽しい事も悲しい事も、全て忘れて夢の中。静かな寝息を立てながら、その子はぐっすり眠ってる。夢の世界はどんなかな?中学生がウトウトしてる。おいおい、今は授業中!ほら、先生が睨んでる。テストが近い、ろくに寝ていない。そん...

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涙。

涙。赤ちゃんがこの世に生まれて来た。ほら、真っ赤になって泣いてるよ。大粒の涙が後から後から、小さな川になって溢れてる。(水晶の粒かその涙。 そのきらめきは小さなダイヤだね……)狭くて暗くて息も詰まりそうだった。その苦しみを潜り抜け、胸いっぱいに酸素を吸っている。君がこの世に生まれて来た時、ある親は手放しで喜んだ。別の親がうんざりして嘆息した。殺してやろうと思った親もいる。でも、それは決して君のせいじ...

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天人五衰。

天人五衰。生まれた生まれた命が生まれた。小さな命が生まれたよ。やがてつぼみが大きくなって、世にも美しく花開く。ほら、まだまだ小さいけれど、このつぼみはね、未来の奇跡を宿しているんだ。おませな娘はもう花開き、奥手な娘は慎ましい。それぞれ時期があるんだよ。朝日が射せば輝くばかり、地上に奇跡が花開く。(ああ、あんなにあどけなかったあの子も、 こんなにも綺麗になったのか……)ね、誰でも輝く時が来るから、慌て...

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陽炎(カゲロウ)

陽炎(カゲロウ)夏ともなれば自動車の屋根が焼けついて、ゆらゆらと陽炎が立ち上っている。その部分の風景は怪しく揺れて、灼熱の砂漠の蜃気楼。人生の旅路で出会ったオアシス、そう思って駆け寄ると、夢幻と消えてしまう……後に残るのは幻滅と、耐え難いほどの失望だ。おや、黒い道路が鏡のようだ。車の影が映っている。灼熱の路上に何故水が?近寄ると跡形もなく消えてしまう。これが世にいう「逃げ水」だ。熱せられた空気が見せ...

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