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記事一覧

春よ来い。春よ恋 …… 

春よ来い。春よ恋 ……     ―挽歌(レクイエム)―     桜咲き、そして桜散る……アジア太平洋戦争の終わり頃、ある若者が特攻隊で、死出の旅路に就く事を、軍部に命令されたのです。軍の命令は絶対でした。逆らったら拷問されて、軍法会議で銃殺になり、家族も国賊と呼ばれます。選択の余地などどこにもない、それが戦争の現実です。若者はわずか17歳。目の前が真っ暗になったけど、家族や愛する人を守るためだと、悲しく彼...

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悲しい母

悲しい母その子は貧しい家に生まれた。父が誰かはわからなかった。母は水商売で酔っ払い、「お前のせいで私は不幸になった!」そうわめいては殴りつけた。母は何度も男を引き込み、その子が中学生になった頃、ある男がその子をレイプした。事実を知った母親は、狂ったようにその子を虐待した。「お前はおぞましい女だ! 実の母から男を奪いやがって! そんなにも男が欲しいのか! だったらとっとと出て行きやがれ!」哀れなその...

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冬の雨

冬の雨もう少し寒ければ、雨は雪に変わったろう……けれども中途半端な暖冬で、今日は一日雨が降る。空はどんより暗くなり、朝になっても目が覚めない。犬さえ散歩に行きたがらずに、テーブルの下で毛布の上に居る。石になったように動かない。それでもせかして外に出る。雨は冷たく降って来る。吐く息は真っ白になっている。けれども大地は潤って、草木は雨を喜んでいるだろう。ようやく家に戻って来ると、犬はさっそく毛布の上へ。...

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老いと死

老い衰えて……肉体的にも元気が失せ、怒る気力も低下し、これまで生きた恨みつらみも、悲哀も絶望も憎しみも怒りも、全ての過去の記憶も薄れ、自分が衰えてしまったという自覚もなく、ただ静かに時間が流れて行って、最後には全ての執着を捨ててあの世行き。ギリシャ人はレイテの泉、忘却の泉と呼びました。人生の不幸を忘れていくこと、それ以上の癒しはありません。子供達は親の衰えを悲しみますが、それは自然の摂理かもしれませ...

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