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記事一覧

天人五衰。

天人五衰。生まれた生まれた命が生まれた。小さな命が生まれたよ。やがてつぼみが大きくなって、世にも美しく花開く。ほら、まだまだ小さいけれど、このつぼみはね、未来の奇跡を宿しているんだ。おませな娘はもう花開き、奥手な娘は慎ましい。それぞれ時期があるんだよ。朝日が射せば輝くばかり、地上に奇跡が花開く。(ああ、あんなにあどけなかったあの子も、 こんなにも綺麗になったのか……)ね、誰でも輝く時が来るから、慌て...

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陽炎(カゲロウ)

陽炎(カゲロウ)夏ともなれば自動車の屋根が焼けついて、ゆらゆらと陽炎が立ち上っている。その部分の風景は怪しく揺れて、灼熱の砂漠の蜃気楼。人生の旅路で出会ったオアシス、そう思って駆け寄ると、夢幻と消えてしまう……後に残るのは幻滅と、耐え難いほどの失望だ。おや、黒い道路が鏡のようだ。車の影が映っている。灼熱の路上に何故水が?近寄ると跡形もなく消えてしまう。これが世にいう「逃げ水」だ。熱せられた空気が見せ...

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渇望 (施餓鬼供養)

渇望 (施餓鬼供養)金が欲しい、金が欲しい。(でも、あの世に金は持って行けない……)美味い物を喰いたい、美味い物を喰いたい。(メタボと、糖尿病と、脳梗塞と、認知症が待ってるよ……)女が欲しい、男が欲しい。(梅毒、淋病、クラミジア、扁平苔癬にエイズに子宮頸ガン、 妊娠するよ、認知させられるよ、本妻が激怒して、子供達には離反される。 全てを失い、自分も不幸に、産んでも悲しい子になるよ……)権力が欲しい、権力...

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後妻。

後妻その娘は商家の3女だった。長男が一人いた家で、娘は利発で進学を望んだけれど、女性に学問など必要ないという、時代遅れの父親だったし、母親は嫁いびりから我が身を守るのに手一杯で、娘達の進学になど何の関心もなく、中学を卒業した段階で、役にも立たない娘は都市部に住み込みで就職させられ、正月にもめったに帰省できなかった。長男は死に長女は婿養子を取ったが、我がままな長女とDVで怠け者の婿養子は、毎日毎日掴み...

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願い。

願い。醜い人が神に祈った。「どうか神様、 こんな醜い私でも、 誰かの光になれますように!」その人は地道に仕事して、独身のまま年老いて、たった一人で息を引き取った。死んだその人は天使に招かれ、幸せな世界に生まれ変わった。背中には見えない翼が生えていた。その人は天国で光り輝き、信じられないほど美しくなり、生涯の伴侶と結ばれた。人は死後の世界では、心のままの姿に変わる。醜い心は醜い姿に、清らかな心は清い...

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甘い誘惑。

甘い誘惑。  ―クピドの罠―ムスクにシトロン、シャネルの5番。夜の香水が匂い立つ。男がオオカミ、女が女鹿に、獣になって求め合う。誘惑の夜が終わりを告げて、薄明の朝が訪れる。男の炎は消え失せて、豚さながらに大いびき。(あるいは中華の肉饅か? それとも蒸籠の小龍包?)女の炎はくすぶりながら、みだらな余韻に浸っている。……やがて情欲が鎮まれば、現実が再び蘇る。惨めな人生、孤独な旅路。怒鳴られこづかれ屈辱の日...

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君と出会って。

君と出会って。君と出会って、人生の闇に希望の光が射した。君が来てくれて、私の人生が前に進み始めた。君が私を選んでくれて、今ではもう数十年。君が与えてくれた物は、こんなにも大きかったのに。君にしてあげられたことは、あまりにも小さかった。君も今は年老いて、私も同じく役立たず。君に何もしてあげられずに、私は自分の事ばかり。せめて私は捧げよう。このささやかな想いの花束を……...

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