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悲しい母

悲しい母


その子は貧しい家に生まれた。

父が誰かはわからなかった。
母は水商売で酔っ払い、

「お前のせいで私は不幸になった!」
そうわめいては殴りつけた。

母は何度も男を引き込み、
その子が中学生になった頃、
ある男がその子をレイプした。

事実を知った母親は、
狂ったようにその子を虐待した。

「お前はおぞましい女だ!
 実の母から男を奪いやがって!
 そんなにも男が欲しいのか!
 だったらとっとと出て行きやがれ!」

哀れなその子は追い出され、
あざだらけのまま彷徨った。

やがてその子はいかにも親切そうな、
一人の男に拾われた。

ところが男は暴力団。
その子は風俗店に売り飛ばされて、
何度も性病にかかったが、
その度に男は殴りつけた。

「誰のお蔭で食っていけると思ってやがるんだ!
 貴様は感謝すら知らないのか?
 わかったらさっさと仕事しろ!」

男のプライドはかくもおぞましく残酷だが、
男尊女卑を望む奴らは、
右翼や軍国主義者や独裁者は、
自らの醜さにも気付かない。

やがてその子は妊娠したが、
男は気付きもしなかった。
哀れなその子は産婦人科に、
受診する事すら知らなかった。
誰も教えてくれなかったから。

誰も知らない闇の夜に、
その子は一人で出産し、
泣き声が男に聞かれるのを恐れ、
自ら首を絞めて殺害した。

死体はビニール袋に包み、
屋根裏にこっそりしまっておいた。

そう時間も経っていない内に、
その子は再び妊娠した。
男は避妊もしなかったから。

一度殺せば二度目は簡単。
世界最悪の独裁者、
ナチス・ヒトラーもそう言っている。

「それが民族差別でも国粋主義でもいい。
 何も知らない若者達を洗脳して、
 適当に誰かを憎ませろ。
 
 三人ぐらい虐殺した頃には、
 平気で人を殺せるようになる。
 
 これで戦争の英雄が出来上がる。
 偉大な祖国を守るため、
 偉大な指導者を信奉し、
 愛国心を持って滅私奉公し、
 憎め! 怒れ! 殺すのだ!」と。

こうしてかつての被害者は、
今では立派な加害者に。

その子は虐待される娘から、
男の欲望の奴隷から、
今度は弱者である哀れな子供の、
命を奪う加害者になった。

ユダヤ人も同じだね。

かつてはヒトラーに虐殺され、
今では弱者であるパレスティナ人を、
笑いながら日々虐殺し続けている。

虐待が連鎖するように、
差別と暴力、虐殺も連鎖する。

「罪を許してやりなさい。
 裁くのではなく憐れんでやりなさい。
 あなたの敵を愛しなさい。
 それだけが暴力と虐殺、
 戦争の連鎖を止める手段なのだから」

神の聖者はそう教えたが、
残忍で非情な人々は、
この人を十字架に磔にして、
笑いながら殺してしまったのだ。

神の子は惨めに惨殺され、
哀れな赤ん坊は絞め殺される……。

やがておぞましい子殺しが発覚し、

「あの女は母親じゃない。
 残酷な怪物だよ。

 女は恐ろしいねえ。

 死刑になると良いのにね。」

この世の不幸、
弱者の地獄、
その真実を何も知らない男と女が、
汚い物を見るかのように、
この母親に唾を吐きかけた。

まりあ

きりすと
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