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最初の一歩

最初の一歩

よちよち歩きの女の子に、
微笑みながら天使が言った。

「大丈夫だよ。歩いてご覧。

 転んでもいいんだよ。

 また起き上がれば良いだけさ。

 世界が君に微笑みかけている」


内気な少女に祖母がささやいた。

「勇気をお出し、愛する娘。
 運命の人に巡り会うには、
 あなたが立って歩きださなくちゃ。」


最初の一歩は恐いけど、
清水寺の舞台から、
飛び降りる程怖いけど、
それは死の恐怖かもしれないけれど、

最初の一歩を踏み出せたなら、
後は野と成れ山と成れ。

駄目だったなら止めれば良いし、
恐かったなら逃げれば良い。

でも、最初の一歩を踏みださなけりゃ、
悪い事も起きない代わりに、
良い事だって起きないよ。

そう神の天使が微笑んだ。

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天使

悲しい若者がただ一人、
自殺を考えながら生きていた。
死ぬことだけが彼の希望だった。
闇だけが彼の慰めだった。
惨めな現実を見なくて済んだから。

ある時、意地悪な上司の部署に回されて、
若者は散々苛め抜かれた。
その上司に怒鳴られ侮辱されるたびに、
若者は深刻なうつ状態になり、
死ぬ程の苦しみを味わったのだ。

上司の所に手伝いに来た、
一人の物好きな老婆がいた。
孤独な若者を見て何を思ったか、
老婆はこんな事を言ったのだ。

「私のお手伝いしているお茶の教室に、
 年頃の娘さんが居るの。
 あなた、彼女が居ないなら、
 一度会って見ない?
 良い子だよ。」と。

地獄のような家庭で育った若者は、
結婚する気など全くなかったし、
死ぬことだけを考えて、
生き地獄のような人生を送っていたから、
「僕は結婚する気などないから」と、
二つ返事で断った。

ところが運の悪い事に、
意地悪な上司が聞きつけて、
内気な若者をからかってやろうと、
ニヤニヤしながら命令した。

「君は放っておいたら一生結婚できまい。
 これは上司としての命令だ。
 社会勉強として会って来い」

いやなこったと思ったけれど、
嫌々ながら若者は見合いの席へ。
少し言葉を交わしただけだが、
若者は相手の女性が気に入った。
次のデートの約束は取りつけたが、
まさか二度と来るまいと若者は思った。

けれども女性はやってきた。
孤独で不幸な若者には、
女性の頭から後光が射して見えたのだ。

数か月して2人は結婚し、
「まさか結婚するなんて」と、
当の上司は驚いた。

それからも哀れな若者は、
繰り返し上司にいじめられ、
何度も惨めな思いと絶望に、
死ぬ程の苦しみを味わった。

「ねえ、僕は生きてていいのかな?」

若者は何度も妻に尋ね、
妻は笑ってうなづいた。

「ええ、生きてていいのよ」と。

何年かして若者は部署を代わり、
意地悪な上司とも縁が切れ、
やがて子供も授かって、
最後には生きる地獄から、
光の中に解放されたのだ。

「神様、誰にお礼を言ったら良いかわかりませんが、
 あなたにお礼を申し上げます。
 私を地獄から光の中へ、
 あなたは救い出してくださったから」

親が新興宗教を転々として、
狂信に明け暮れていたために、
若者は全ての宗教を嫌っていたが、
心の中の神を信じていた。

ごらん、この意地悪な上司のした事を。

元々は悪意から始めた事だが、
その結果はどうなった?

神の働き天使の動き、
神仏の陰の助力とは、
こうしたものだと知るがいい。

この意地悪な上司に感謝する、
そんな必要は毛頭ないが、
陰ながら人生の苦難を生きる、
心優しい不幸な人々に、
そっと寄り添う天使の力を見よ。



ダイバダッタ(提婆達多)

ダイバダッタはお釈迦様の従弟だった。

最初はお釈迦様に従っていたけれども、
やがて自分の卑しさ残酷さ傲慢は棚に上げ、
罪もない善良な従兄の名声を妬み、
殺してやろうと思うほど、
逆恨みして徹底的に嫌がらせをして、
真っ逆さまに無間地獄に堕ちた、
恥ずべき人間の屑だった。

教団を分裂させようとして、
お釈迦様のありもしない悪口を言い触らし、
ありとあらゆる悪意の果てに、
大岩を転がして、
慈悲深い従兄を殺そうとした。

「あの男は救いようがない。
 他者の善意を悪意に解釈し、
 人の憐みを曲解し、
 何を言っても理解せず、
 自らの被害妄想と、
 自身の悪意に蝕まれ、
 狂気の中で生き続け、
 死ねば自らの構築した、
 無間地獄で苦しみ続けるだろう」

お釈迦様でさえ匙を投げたのだ。

けれども最晩年になり、
尊い人類の師は側近だけに、
秘儀としての教えを授けたのだ。

「聞くがよい。
 提婆達多は私の最良の師であった。

 彼が私を迫害してくれたからこそ、
 私は決して教化できない悪人の存在を知り、
 救われない人々がいかなる物かを覚り、
 命を懸けて忍耐する事を学ぶことができたのだ。

 彼は無間地獄で苦しみ続ける。
 それは彼自身の罪の報いであるが、
 たとえ何千年苦しみ続けたとしても、
 最後には彼も己が過ちと罪に気付くだろう。
 そして無限の時が過ぎ、
 数えきれない輪廻転生を経る事になる。

 一度の転生で覚れなくとも、
 百回転生しても覚れなくとも、
 何千回、何万回と輪廻転生して、
 ありとあらゆる試行錯誤を繰り返すなら、
 最後にはどんな悪人であろうとも、
 光の覚りを得られるのだ。

 従って弟子達よ、
 たとえいかなる罪人であろうとも、
 どんなに残酷な人間であろうとも、
 どんなに愚かな者であろうとも、
 決して侮ってはいけない。
 また、裁いてもいけない。

 無限の未来においては、
 全ての人が覚りの境地に達し、
 慈悲と憐み、智慧と忍耐を、
 最後には完成させるのだから。
 今の一点だけを見て、
 他者を裁くのは間違っている」

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