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陽炎(カゲロウ)

陽炎(カゲロウ)

夏ともなれば自動車の屋根が焼けついて、
ゆらゆらと陽炎が立ち上っている。

その部分の風景は怪しく揺れて、
灼熱の砂漠の蜃気楼。

人生の旅路で出会ったオアシス、
そう思って駆け寄ると、
夢幻と消えてしまう……

後に残るのは幻滅と、
耐え難いほどの失望だ。

おや、黒い道路が鏡のようだ。
車の影が映っている。

灼熱の路上に何故水が?
近寄ると跡形もなく消えてしまう。

これが世にいう「逃げ水」だ。
熱せられた空気が見せる幻……

都会の路上のラクダの背では、
人々を幻惑する陽炎が立ち上る。

砂漠を旅した隊商達も、
焼けつく日差しに幻影を見たのだろう。

乾ききった冷たい都会の砂漠で、
人々の目に映るのは虚しい蜃気楼。

豊かさは市場介入で、
無理やりに作られた虚しい幻想。

先進国とは名ばかりで、
弱者は切り捨てられる一方だ。

ゆとりがないから親は子を構えず、
子も老いた親に何もしてやれない。

延々と続く夏のハイウェイ、
一体どこに向かうのか?

ああ、行く先は本当はわかっている。
「誰もがいずれ、老い衰えて病を得、最後には皆、死に終わる……」

砂漠を歩いた隊商も、
都会を駆ける多忙な人々も、最後には同じゴールに到る。

「さあさあ、皆さん、お疲れ様。
 ようこそおいで、死の国へ!」

死の天使が笑って手招きしている。
地獄へ行くのか天国か?

人生は夢か幻か?
焼けつく陽炎が揺らめいている。

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オラース・ヴェルネ画 「死の天使」



梅雨。

灰色の雲が低く垂れ込め、
じとじと雨が降ってくる。
陽の光はどこにも見えず、
何処に行っても雨、雨、雨……

道路は黒くどんより光り、
しぶきを飛ばして車が走る。

けれどアジサイは満開で、
今を盛りと咲いている。
ピンク、紫、藍色、純白、
ブルーや淡い緑の花。

色とりどりに咲き乱れ、
風に吹かれて揺れながら、
道行く人にうなづいている。

庭のムクゲも花が咲き、
イチジクの実はまだ親指ぐらい、
静かに雨に打たれている。

プラムは緑、桃は白。
ブラックベリーもたわわに実り、
一つ二つは黒く熟している。



七化け

白に紫、ブルー、藍色、
ピンクに混色、梅雨の花。

じとじと雨が降ってくる。
灰色の雲が空一杯。

暗い地上の花盛り。



雨上がり。

さっきまで降っていた長雨も、
今しがたようやく上がったようだ。

灰色の雲はまだ広がっているけれども、
所々青空がのぞいている。

遠い空の果てでは雲の切れ目から、
きらめく陽光が降り注ぐ。

(これで虹が出たら完璧なんだが……
 世の中、そうは問屋が卸さない)

水たまりは空を映して、
白い鏡か地上の雲か?

雨も悪い事ばかりじゃない。
大気は澄んで涼しい風が吹く。

ほら、ご覧、雨が止んだら、
そろそろ暑くなってきた。

屋内に居ればそうでもないが、
外を歩くには蒸し暑い。

田園地帯は稲が植えられ、
物悲しげなケリの声がする。

白鷺はじっと水面を眺め、
抜き足差し足歩いている。

人も生き物も生きるためには、
疲れたなどとは言って居られない。

昨日も今日もまた明日も、
こうして時間が巡りゆく。


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点滴。

たいくつで辛い治療が続く。
いつまでこうして居れば良い。

(あなたの命を伸ばすため、
 あなたに生きていて欲しいから……)

病室は白くやる事もない。
腕はつながれ「ルーツ」の奴隷。

(このお薬はね、
 数え切れない医者達が、
 生涯をかけた研究成果だよ)

背中がかゆい、身体がだるい。
食べてないのに食欲ない。

「悪い細胞はいねが~?
 いたらみんなたたっ殺してやるがら」

(おやおや、東北のナマハゲの、
 正体は化学療法だったっけ?)

ね、怖い顔のナマハゲは、
本当は優しい正義の味方。

(どうか助けられますように。
 どうか助けてあげられますように!)

無数の医師と看護師達が、
心血注いだ今の医療。


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Buddha-Weekly-Tsitigarbha-as-monk-on-Kulung-Buddhism[1]

キリストの癒し
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コメント

No title

はじめまして、こんばんわ。
足跡からお邪魔致しました。

もし宜しければ、またいらしてくださいね♪

まずはご挨拶まで・・・。

Re: はじめまして。

またよろしくお願い申し上げます。

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